東京目白の五色湯は大正ロマンにひたれる銭湯です
11月の初めは毎日晴れて紅葉が陽に輝いてとても綺麗な箱根です。
今年の紅葉は晴天の日が多いせいか、黄色からオレンジ色そして赤色へと、グラデーションが鮮やかに、道を車で走って見上げてもうっとりする程です。
いつも黄色で終わってしまう我が家のもみじが赤色まで染まってきたので箱根山中が美しいのです。
そして芸術の秋でもある11月は久々の文化活動として、俳優のお友達の芝居を観劇のため、東京へ行きました。
小劇場があるのは下落合というので、まず都内へ出るのは、小田原から小田急線に乗り、下落合まで行きます。
下落合という地に、今まで降り立ったことがないので、アクセスを調べてみると、下落合は西武新宿線の駅ということです。
新宿でJR山手線に乗り高田馬場で西武新宿線に乗り換えて次の駅が下落合です。
友達のお芝居の朗読劇を初めて観ましたが、昭和のラジオ放送劇を2本立ての舞台に演出し直した作品で、炭鉱で起きた落盤事故の話と戦争に行った息子の帰りを待つ母のお話です。
年齢が重なりますと、朗読からいろいろ場面や状況を想像することは、脳トレになりすごく刺激されました。
観劇後、ジーンと胸が熱くなり、異次元に自分を連れて行ってくれるツールとしての演劇鑑賞は何度体験しても良いものです。
さて、出かける時はその地の銭湯を必ず調べる私としては、今回も調べました。
下落合駅近辺には、福の湯があり10分ほど歩けば五色湯があると検索してきました。
ハシゴ銭湯をしたかったですが、今回は少し歩いても五色湯の屋号にそそられて、五色湯入浴体験に決定です。
小劇場を16時前に後にして歩いて行けば、ちょうどオープン時間の16時過ぎです。
途中聖母病院の緩やかな坂をのぼり、壁面の銅板の彫刻が圧倒されるようなインパクトですから、その下から見上げるだけでなく、道路の反対側から眺めればよかったと今更思うのでした。
細い路地を道なりに歩を進めてやっと目的の銭湯に到着しました。
五色湯の暖簾をくぐって中に入りましょう、靴箱はだんだん見かけなくなった木の札の下駄箱の呼び名がふさわしいものです。
入り口には券売機があり、大人500円でした。
外観からも伺えるように、新しいのでとても綺麗で、更衣室に入ると畳敷きだったので、広いし素足に畳の感触がさらりとして落ち着きを感じました。
縁台も2脚あるので、靴下を履くのに腰掛けられて便利です。
内装は黒で統一されて、ロッカーもこのように大サイズと中サイズなど、使い分けができてとても便利な配慮を感じました。
五色湯ですから、5色のお湯の色なのでしょうか。
浴室に入ります。
タイル張りが大正ロマンを感じさせる、銅色というかレトロな雰囲気のタイルで、正面には風景画は波が描かれているように見えます。
ステンドグラスの模様も大正昭和のアンニュイな雰囲気で素敵です。
洗い場のカランは、水とお湯を自分で調整して適温にする、昔のタイプで懐かしいし、シャワーは固定式なので、頭を合わせてシャンプーして洗い流す必要があります。
立ってつかうシャワーも1箇所ありますが。
シャンプーやボディソープが設置してありました、500円の銭湯は持参したり、購入するのが多いのにお得感です。
さて5色だと想像して入る浴槽は、どれも透明のお湯です。
五色湯の屋号には、五色不動、五行思想から名付けられてという歴史がホームページに書かれていて、目白不動が近いからだそうで、目黒不動は有名ですが、目赤、目黄、目青もあるなんて知らなかったです。
五行思想の赤は、38℃の中温風呂、黄は43℃の高温風呂、白はサウナ、青は水風呂、緑は外気浴としているので、ああなるほど5色のお風呂というわけなのです。
透明のお湯の元の水は井戸から地下水を利用していて、水道水よりの軟らかくて肌触りが良いお湯になると書いてありました。
中温の浴槽には腰や背に水圧が気持ち良いジャグジーがありゆっくり揉みほぐし効果が得られます。
高温の湯と言っても、日頃箱根金時荘の44℃の熱めの白い濁り湯温泉に入っている私には、ちょうど良い湯加減です。
サウナには、チケットを買わなかったので入れませんでした。
ビル型の銭湯ですが、すごく和の雰囲気で広くて混んでいる感じがないのでよかったです。
昔ながらの按摩機が置いてあり、ドライヤーは有料ですが、3分30円という今どき安い表記に驚きました。
出入り口付近はゆっくりできるスペースはあまりありませんが、更衣室には、飲み物自販機があったので湯上がりのコーヒー牛乳も飲むことができます。
さっぱりと汗を流して外に出るともう日が暮れていて、家家の明かりが帰宅心を急かせます。
久々の上京で、初めて訪れた下落合のご近所の目白の銭湯五色湯は、想像以上の私の五感を満たす銭湯入浴体験でした。
これから箱根に帰宅したら、「やっぱりうちの白い濁り湯温泉が一番だ」とお風呂に入って呟いてしまうのでしょう。