静かな箱根の森でティータイム

箱根には美術館が多いです。

日本画や西洋画の美術館から彫刻の野外展示で人気のある彫刻の森美術館など、最近では金太郎に関する書籍やトリックアートなどの展示をしている金太郎美術館は、小さなスペースですが楽しさは満載です。

私が運営いたします箱根金時荘から歩いて15分くらいの強羅との中間の地にいつも気になっている和洋折衷の建物があります。

マイセンアンティーク美術館

かつて銀行の保養施設だった建物ですが、閉鎖されて以後は、何年もただそこに立っているだけでした。

屋根の色が変わって、綺麗になったなと気づいたら、2011年に美術館として強羅の地にオープンしていました。

マイセンという名を聞くと、洋食器のセットを思い浮かべますが、陶磁器のマイセンアンティーク美術館として生まれ変わりました。

もう何年にもなります。

銀行の保養施設時代から、建物内を見てみたいとずっと思っていたので、マイセンを見学しながら、館内の様子を初めて見させていただきます。

受付で入館料1500円を払い館内に入ります。

マイセン窯は1710年に硬質磁器製作所として開設され、以来300年を超える長い歴史と伝統を誇っていまして、調度品として食器として、当時の宮廷を彩り王家や貴族に珍重されました。

その作品の数々が、大正から昭和初期の折衷様式のこの建物に、作家別に展示されています。

建物とヨーロッパ磁気の調和とお庭の自然も相まって、芸術に触れるには、良い環境なのだと思います。

美術館が箱根に多く建設されるのは、箱根の自然が大きな要素となっているのだと思います。

作品の中には、柿右衛門様式とかシノワズリ(中国趣味)という東洋的な模様が描かれた美術品や装飾品があり、18世紀のヨーロッパで大流行したということです。

この建物は、吉田内閣当時の日銀総裁の東京青山に建てられていたものが、取り壊しになるところを、東海銀行が買い取って、箱根の地に移築して、保養施設となったそうです。

半世紀も前の話で、この前の道を通るたびに、素敵な建物だなと館内をみて見たいものだと、いつも思っていました。

折衷様式の建物ですから、床の間のある和室や欄間などが素敵です。

楕円のバルコニーや洋間には暖炉があり、寒い強羅では活躍したことでしょう。

吹き抜けの階段は、アールの窓が教会のようで、洒落ています。

最後に、マイセンのカップで紅茶をいただける(有料)ティーラウンジがあります。

コーヒーと紅茶の2択しかありません。

ティーポットには3杯分の紅茶が入れられていますから、あまりお客様で混み合うこともないようなので、ゆっくりティータイムを過ごせます。

できれば、好みのマイセンカップを選ぶことができるとより充実したサロンになるのではと欲張りなお願いです。

8月ももう終わりですが、避暑地のティータイムをアートとともにお過ごしください。