湯本温泉 <萬寿福旅館>昭和を大事に今に伝えるなめらか温泉で悩みも忘れる
箱根の玄関、箱根湯本駅から歩いて6分、温泉場入り口から橋を渡った正面に、萬寿福旅館(ますふくりょかん)が建っています。
昭和初期に建てられたこの建物は、宮大工が釘を使わずに建てた建築物で、建具なども粋で、隅々まで拝見したくなるお宿で、日帰り入浴ができるということで、入ることにします。
玄関で、貸切入浴料1650円を支払い、浴室に案内していただきます。
更衣室は、2人ぐらいがちょうど良い広さで、更衣室なのに、床の間の落とし掛けが丸木ですごいと思ったら、元は、茶室だったとの事で、歴史ある和風建築に興味深々でした。
浴室に入ると、湯船は扇形で、浴槽内部のタイルが藍色のせいか、濃い青のお湯に見えます。
無色透明でかすかに温泉の匂いがします。
体を洗うカランがないので、お水が熱い温泉を冷ますためにホース付きのがあるくらいで、シャンプーなどを使わずに、温泉本来を楽しみなさいというメッセージなのかもしれません。
昭和初期には、壁面をタイルで海の中の景色を絵にするのが流行ったのか、小さな銭湯の壁のようです。
さて、湯船のお湯はどんなでしょう。
温泉の泉質は、アルカリ性単純温泉で、pHは、8.6です。
女将さんが、入る前に急いで水を入れて調整してくれたので、熱好きの私は、すぐに水を止めて、熱いまま入りました。
気持ち良くて、熱くてさっぱりしますが、なめらかで肌にまとわりつきます。
洗い場は、大理石でできているということで、ツルツル気持ちよくて、貸切の特典で、大理石の上で寝転んで少しの間、眠ってしまいました。
とても気持ちよくて、汗が流れて、大浴場のジャグジーの温泉も良いけれど、こじんまりと一人で大理石を独占して入るのもまた格別です。
貸切で利用時間は40分の約束なので、そんなにゆっくりもしていられませんから、そろそろ上がります。
更衣室には、昔風のタイル張りの洗面所があり、ドライヤーなどなくても、扇風機とヘルスメーターは設置してあります。
籐で編んだ籠は、4個棚に置いてあり、それも時代を感じます。
昭和初期で時が止まったような、館内は暗くて、でも照明が印象的で、ひっそりとした感じです。
昭和初期に建てられたお宿は、東海道の松をこの階段に使っているそうで、宮大工による釘を使わない建て方である事を、女将さんが熱心に説明してくれました。
1年の半分が過ぎようとして、仕事や書類とか締めなければいけない事ばかりで、気が滅入っていたのに、温泉から出たらみんな忘れているなんて。
温泉に入ることって、洗い流すこと、忘れること、なんとかなるさと思えること、気付かぬうちにそんな気持ちにしてくれます。
温泉に入ってわすれるくらいのことは、もともと大したことでは無いのかもしれないです。
今回も気温の暑い日に、熱い温泉に入りましたが、温泉出たあとは、汗が引かず、でも爽やかな汗で、水分補給は絶対必要です。
そして、暑い日には、暑い温泉がおすすめです。